短編音楽小説#66 Puma Blue – All I Need
僕には出番がない。
ものかげからみているだけで、ずっと影の中にいる。求めるあなたが輝けば輝くほど、僕は暗闇に落ちる。
僕はあなたの影。あなたの闇。
光と影が繰り返して1日が終わる。だから僕は僕のままあなたを追いかける。
夜は僕の時間だ。
あなたは眠っている。僕は夜になると動き出して、水を飲み、ここが自分の居場所だと知る。
昼の世界にはない僕の居場所。
暗闇が心地いい。
かつての僕は闇の中にいて、あなたをみていた。
でももうここにはあなたがいて、眠っている。
僕は真夜中には起きて、ずっとあなたをみている。
夜の夢の中では、一緒だから。
僕には出番がない。
僕は昼のあいだじゅう、夜になるのを待って、あなたが眠るのを待つ。
支配者は昼間にはみているから。
夜には、そして意識の内側には自由があるんだ。