短編音楽小説#58 PASSEPIED – the fossil song
真冬の夜、窓の外から冷たい風が吹き付け、室内は明かりだけ静かに光っていた。ピアノの前に座り、指先で鍵盤を奏でる。音楽はまるで季節が逆転し、真夏の日差しを感じさせるようだ。
何度も繰り返し、旋律を奏でた。時折、窓辺に立って真冬の夜空を仰ぎ、過去の記憶を探す。そして、再びピアノの前に戻り、新たな音楽を紡ぐ。
深夜、コンビニエンスストアに向かう。扉を開ける瞬間、秘密の扉も開かれる。棚に並ぶ商品の中から、一つを選んだ。それが何であるか過去と未来が交差する。
煙草をやめたことは、過去の断絶を象徴していた。しかしコンビニでの選択は、新たな可能性を示唆している。時間は意識の外で静かに流れ、美しさが心を打つのだ。
雨のち命。内なる哲学の一部だ。音楽と言葉が交錯する中で繰り返される。僕は静かに沈黙し、呼吸し、新たな夏の歌を奏で続ける。まだ終わらないでと祈る。真冬に真夏の歌を聴く。すべてが逆である。だからといって間違っているとは限らない。螺旋。何かの因果を感じるし繰り返し続ける。ダンス。原初の海に戻る。そして初めてに出会いたい。
21,985回目、コンビニエンスストアに行く。深夜に秘密が解ける。どれを選んだのか? 意識の外で時が流れるから、こんなにも美しい。
雨のち命。雨のち命。
まだ終わらないでと祈る。真冬に真夏の歌を聴く。すべてが懐かしい記憶になる。ポラロイドのカメラ。姿を消した公衆電話。終わりではなくはじまり。螺旋。原初の海に戻る。そして初めてに出会いたい。
煙草は辞めたから本数はわからない。コンビニエンスストアに繰り返し行く。深夜に秘密が解ける。何を選んだのか? 意識の外で時が流れるから、こんなにも美しい。
雨のち命。雨のち命。
静かに沈黙し、呼吸する。言葉とピアノの混ざった不思議な夏の歌。繰り返し聴く。