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短編音楽小説#56 Seigen Tokuzawa & Masaki Hayashi Lanbic 9 poetry

ずっと弱さを抱えていた。ずっと強いふりをしていた。強くないといけないことがあって、格好良いふりをしていた。でも本当は僕の心は弱くて、時に泣きたくなる。でも多くの人が本当はちっぽけな人間で、強いままでは生きられない。いつか誰かに支えられて生きるようになる。若かった時は格好をつけて生きていたけれど、自分の弱さを認めると、人の弱さを認められる。強さは時に暴力を生み出し、人を支配しようとするけれど、みんなどこかでは欠けていて、言いすぎてしまったことや、思いやりにかけていたことをひとり思いかえす。そしてこれまでの人生をふりかえりながら、どうあれば良かったのかと考える。

遠くで戦争があったり、遠くで地震があったりすると、世界から耳を閉ざしたくなる。ニュースから耳を遠ざけ、ひとりの世界に閉じこもる。でもどこかでは本当は繋がっているんだ。明日は我が身かもしれないんだ。だからどうにかしなければならないけれど、時に無力だ。そして誰を信じればいいのかわからない。

この世界に英雄はおらず、誰かに本当の意味で世界の行末をあずけることはできない。

でも自分は弱いから、誰かを何かを信じるしかない。そして自分自身が言っていることも、やっぱり間違っていることがあるんだ。

どこかで正しい願いが、どこかに届いて素晴らしい世界がやってくることを願っている。

時には太陽の日差しに温かさを感じるんだ。

でも雨や嵐や台風もやってくる。自然の中に古来の人は誰かの荒ぶる魂が災害をよびよせると信じていたのかもしれない。そして魂が鎮まることを願った。

苦しい時もあるけれど、僕はようやく美しいものの本当の美しさに気づけたんだ。

そして弱さを認めて、生きていく。

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