abejunichi@icloud.com

短編音楽小説#51 stellar

空を見上げると、星々が無数にちりばめられ、その輝きははかりしれない美しさに溢れていた。
窓を開くと、夜風がそっと室内に流れ込み、魂に触れた。
夜明けまで、それらの星は変わらずに輝いているだろうと信じた。

そして煙草を吸った。
メンソールの香りが広がる。

言葉を探し求めている最中に、突如として電話が鳴り響いた。
携帯電話がスマートフォンになって以来、この電話の音は不吉な前触れとして心を震わせる。
死は予告なく、何事もない日常の一部として静かに忍び寄る。
電話によって告げられる死。

あの時、彼や彼女は何らかのサインを送っていたのかもしれないと考える。
死の閾を越える前に、人々は何かに触れ、何かを感じたくなる。
まだ、私たちに死は訪れない。そうであってほしいと願う。

何の前触れもなく訪れる死。
もし星が消えさるなら、その瞬間を静かに優しく告げてほしい。
遥か昔、私は二人の友人を失った。
死因はわからなかった。
その報せは、私が人生の波に乗っている最中にも、容赦なくやってきた。

私が筆を執るようになったのは、昔からの夢もある。
しかしそれ以上にある女の子が若くしてこの世を去ったからだ。
友人の死という現実を受け入れることができず、何かを綴らねばと心に決めた。
だが何を書けば良いのか、その答えは未だに見つかっていない。

星々が変わらず輝き続けるように、何も変わらないでいてほしいと願う時がある。
それと同時に、この世界自体が変わってほしいとも願う。
もし終焉が来るのなら、その時だけは穏やかに静かにその事実を耳打ちしてほしい。
この曲のように、ささやかに。

Back