短編音楽小説#45 Oasis – Wonderwall
目の前に不思議な壁があって、いつもイメージの通りにいかなかった。完璧に全てがうまくいく日がくるなんて信じられなかった。しかし、年が経つにつれて、悟りの瞬間が訪れた。完璧な行為は存在しない。全ては過程だ。その一瞬一瞬の。
イメージは消えてしまった。しかし、だからこそすべてが可能だ。限りない可能性が自分の中にあふれている。
目の前の壁がイメージとともに消えたことを理解した。それは自分の内にあるものだった。
美しさは、イメージだけが存在していた時に輝いていた。真実がわかった時、心は静かに安らいだ。夢を見ている時間にこそ、本当の意味で価値がある。
もう恐れるものは何もない。ただ風が吹いている。これからは未知の風景が待っている。
恐怖はない。絶望も薄れていき、心はやわらかくなった。前を向いて、僕は進んでいく。その先に何が待っているのか。ただ、追い求めていたことこそが僕を僕自身にしてくれたのだ。
ただ目の前にあった壁こそが、僕を僕に導いたのだ。
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Oasisの”Wonderwall”には諸説ある。「不思議な壁」とは、いったい何なのか?
僕の直感的な解釈は、これは兄弟の歌なんじゃないか?ということだ。
兄弟の間にある壁。でもその兄弟こそが救ってくれる。
そういうことが歌われているような気がする。
人と人にも、兄弟間にも壁は存在する。でもその壁はいつかは消える。
そしてその壁こそが、人の成長には必要だったと僕はこの歌を聴きながら、感じる。