短編音楽小説#34 Populous – Fall (feat. Cuushe)
あなたに堕ちていく。夜を越えるたびに思う。もっと深くて暗く深い感情。身体が繋がったとしても心も同じとは限らない。あなたが帰るたびに思う。この夜を繰り返してと。
音楽をリピートする。わたしは知っている。いつまでも世界はそのままではない。1日、1分、1秒。時間はとまらない。
過ぎ去った時間の果てに今がある。だから音楽は終わる。だけど願ってしまう。
わたしは目を覚ます。記憶だけが残る。
夜にだけあなたは此処にいてくれる。それだけがわたしのすべて。
少しずつ心が繋がっていく。だからひとりの時間に痛みを覚える。
あなたの不在を埋める音楽。
季節は秋が終わり、冬がはじまる瞬間。
ホットワインをひとりで飲む。スープを温めて食べる。インターネットで見知らぬ誰かと会話する。でもあなたは何も知らない。
わたしは何も知らない。この部屋であなたを待つだけ。
いつも気づいたら朝になっていて、あなたはいない。真夜中にだけ感じられる。生きていることを。
あなたに堕ちていく。出会った時には感じていた。ぼくのすべてはこれからのためにあったし、あなたとともにある。そう感じている。でも同時に怖くもある。すべてをあなたにゆだねきって子どものように笑ってもあなたはあなたのままでいてくれるだろうか。この夜を繰り返す。すぐに朝になる。あなたはいつも笑っているけれど、本当だろうか?
音楽をリピートする。ぼくは知っている。いつまでも世界はそのままではない。1日、1分、1秒。時間はとまらない。
過ぎ去った時間の果てに今がある。だから音楽は終わる。だけど願ってしまう。
ぼくは目を覚ます。記憶だけが残る。
夜にだけあなたに会いにいける。不自由な人生。でも真夜中にはあなたに会える。眠ることなく。
あなたの不在を埋める音楽。
季節は秋が終わり、冬がはじまる瞬間。またあなたのぬくもりを感じる。
キーボードを素早く叩く。論理的にものごとを考える。少しでも早く帰ることができるように。でもあなたは何も知らない。
ぼくは何も知らない。あなたの部屋に駆けていくだけ。
いつも気づいたら夜が終わっていて、仕事へ向かう車の中にいる。真夜中にだけ生まれてきてよかったと感じることができる。
いつも死んだように眠っていた。(いつも死んだように眠っていた)呼吸をしていても、息ができなかった。笑おうと思っても笑えなかった。すべてが靄がかかったようにすぎていた。いつからかあなたが真夜中に来るようになった。(いつからか真夜中にあなたの部屋を訪れた)そしてあなたの前でだけ呼吸ができた。(そしてあなたの前でだけ呼吸ができた)
苦しみのぶんだけ信じることができた。いつかあなたは朝になってもそばにいて、そしてわたしをこの部屋から連れ出すのだ。
心と身体はいつか重なり、冬が通り過ぎて春になる。そんな時がくればわたしは(ぼくは)ただのひとりの女となって(ただのひとりの男となって)、あなたとともにいるだろう。
これは詩かもしれない。でもわたしは音楽にあわせて歌うように囁いた。