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短編音楽小説#5[Coburn:We Interrupt This Programme]

昔、社会から見放された人々がいた。
彼らは身体のどこかか頭のどこかがふつうではなく、そういうふつうでないことのせいで、見世物小屋で、芸をさせられた。観客たちは、そういう彼らのふつうじゃなさを金を払って楽しんだ。

あるひとりの観客は、彼らがあまりに面白いから一体、どういう人たちでどういう暮らしをしていて何を食べているのか知りたがった。

舞台の幕がおちた後、観客は、 舞台の袖で、彼らがその小屋から出てくるのを待った。しかし誰も姿をみせない。彼らにもプライドというものがあったからだ。

長い間 、彼らと観客の間には多くの隔たりがあった。
彼らは健全な人々の間で忌み嫌われ続けた。
しかし、ひとたび幕が上がれば彼らが主役でほかの多くの人々が観客。幕を隔てた両者にはこちら側の人々が想像するよりももっと多くの壁があったに違いない。

やがてテレビやインターネットが普及して誰も彼もが彼らに一度は憧れる時代になった。

彼らが語ってみせるあらゆる絵空事の美しさや悲しさや笑いが共有されるようになった。そして、そんな彼らを愛する観客たちが今も、彼らを捕まえようとしている。

魔法は、観客が舞台に上がった時にとけてしまうことを彼らはよく知っている。
いくつもの仮面をかぶり衣装をまとい場や人によって言葉や態度を変え、多くの性格を内に宿す。 誰もそういう彼らを捕まえることができない。

しかし、いつのまにか誰も彼もが彼らのように仮面をまとい衣装を着て心を隠すようになった。

新しい楽しさがあっという間に広がって伝わり、消費され、見捨てられる。そして、新しい悲しみが生まれ、時代が過ぎると、その悲しみがまた新しい笑いになっていく。 いったい、彼らはどこへ消えてしまったのか?

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