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選択と集中の時

雑誌編集者をやっていた頃、将来の出版不況に不安を覚えた。
仕事を実際にしていると内実もわかってくるし、業界の未来もみえる。2001年か2002年ぐらいのことだ。
僕はずっと文筆で生きていくという覚悟をしていたわけだけれど、いざ働きながら内実がわかってくると、決心も揺らいだ。そして様々なことをした。
iBookというMacBookの前のモデルがあり、そのMacで映像を作ったり、音楽を作ったりした。
その頃、コンピュータでできることをいろいろ試してみた。
一方で陰りゆく紙の本の世界があった。

90年代の日本は不況だったけれど、90年代の終わりには21世紀もみえてきたし、インターネットの登場もあり、未来は希望に輝いていた。


スティーブ・ジョブズの『選択と集中』という有名な話があるけれど、ジョブズは多くの業務からやるべき事業を選択し、力をいくつかのことに集中させた。これはリーダーしかできないことだ。
不況の出版社は、様々な新しいヒット作を産み出そうと作品点数を増やした。つまり行動した。
出版物を増やし、何か当たらないかと考えたわけだ。

僕は当時、上の人間に質問され「(雑誌の)クオリティをあげること」という答えを出したけれど、太刀打ちできないぐらいジョブズは神話的な答えをだしている。もの凄く新しいクオリティが高いものを大量に生産する。それがアップルが行ったことだ。

たくさんアクションをし、利益にならない行動から学びをえることができるのは『好景気』の時だ。

スティーブ・ジョブズが行ったこと。それが不景気の脱出方法である。

自然界と経済は似ている。
あらゆる可能性がある時、生命は花開き、行動は大胆になり、様々なことがアクティブになる。
季節に例えるなら、春や夏のようだ。すべては輝いている。
しかし、不景気が近づいてきたら?
まず、生きることを考えなければならない。目の前の食べ物のことを考えなければならない。
もしあなたがリスみたいな存在なら、食べ物を蓄えて、できるだけエネルギーを消費しないようにじっとしていなければならないかもしれない。

何を行動し、何を選択するのか?
お金がない時には、そのお金の使い道をしっかりと考えなければならない。
アクションは必ずリターンがあるものに特化しなければならない。

選択し、集中する。最大限の利益を得るために。
そしてそれが未来のためになる。

スティーブ・ジョブズが行ったことは、そういうことだ。
厳しい冬を生き抜き、すべての賭けに勝ち続けた。

21世紀が始まったインターネットの時代。僕は浮かれていた。出版という道で食べていくことは難しいと感じながら、Macを触って。
おかげでさまざまなことを学んだ。
行動は広がり、さまざまなアクションをしてきた。
学んだことは多くある。

でももうすぐ人生の中でも厳しい冬がやってくる。時代もそうだし、年をとるとはそういうことだ。
だから、選択し集中しなければならない。
そして誰もがきっとそういう選択と集中をしなければならない時があるのだろう。