午前零時、駅前は羊の群れであふれていた。
人々はスマートフォンの光を見つめ、同じ夢を反芻している。
歩調は揃い、仮面は剥がれない。
仮面が彼らを守っているのか、それとも彼らが仮面を守っているのか、
判別できなかった。
その夜、古本屋の前で一枚の紙切れを拾った。
薄い紙に、震えるような手書きでこう書かれていた。
「全てを奪いにやってくる」
雨に濡れて文字はにじんでいたが、脅しではなく告白のように見えた。
誰かが必死に伝えようとした痕跡。その瞬間、街のざわめきが遠のいた。
詐欺師たちは宗教を名乗り、希望を売り歩き、不幸を増幅させてきた。権力は口実を巧みに仕立て、自らを正当化する。他者の感情など意に介さず、幸福を踏みにじり、粉々にしてきた。私は知っている。私はその破片をいくつも拾ってきた。
間違いではなかった。ただ愚かだった。
私は紙切れをポケットにしまい、灰色の街を歩き出した。
全てが錆び、朽ちていくように見える。
けれど、その錆の下で新しい芽が震えているのを感じた。灰の中の骨でさえ、新しい方向を探している。
私には幻影がある。
月の裏側で、君が手を振っている。
遠い夢の中で交わした約束が、今も血の中で鳴っている。
再び出会うために。
昨日はいつしか過ぎ去った。新しい朝が始まる。
私は問う——よく眠れただろうか?今日は違う日だ。
歩こう。
虹の彼方へ。
月の裏側へ。
風の中へ。
新しい世界へ。
午前零時。私は毎夜この時刻に思い出す。
私たちは間違っていなかった。
私たちは愚かだった。
それでも——。
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